London Diary

Vol. 7

26 February 2024

Umi Shimodate


『伝えないと伝わらないからね』

 

だいたいどこの店員さんも無愛想なことが多い、チェーン店のカフェに入り、アイスラテを頼もうとしたら「今はホットしか用意できないから無理だ」と一言だけ言われて終わることもある。でもそんなこともこのイギリスという国では当たり前のことであり、もはや誰も文句を言う人はいない。最初から諦めてる、という言い方のほうがあってるかもしれない。「そっかぁ、仕方ないからお店を変えよう」という感じで嫌な顔せず店から出ていく。「お客様は神様」という言葉が存在する日本という国にいたら丁寧な接客を受けるのは当たり前で、日本が提供しているそこらへんの「安定感」に依存してるかもしれないなと、この国にきてから改めて思うことが多い。

 

我々にとっては「ありえない」こともロンドンでは日常茶飯。もしかして、日本の丁寧さは素晴らしくもあり、少しだけ異常なのかも。

 

今、ロンドンのOxford circus streetにある某カフェで働いている。観光客で溢れている位置にあるため、早朝6時から夜22時までずっと忙しい。私はなるべく無愛想ではない接客を心がけるようにした。基本的にお客さんはみんなとてもやさしいのが嬉しい。新人の頃、Trainingの名札をつけながらオーダーを取ると「新人と思えないね〜」や「謝らないで!ミスはして当たり前なんだから〜」とポジティブな声がけをしてくれる人が本当に多くて感動した。

ポジティブな言葉を心に中に留めず、相手に伝えることは意外と簡単じゃないはず、気恥ずかしさがあったり、相手の反応を考えてしまったりするから。でも、そんな余計なこと考えず、ポジティブな感情はどんどん伝えていこう、伝えないと伝わらないし。

 

その分、クレームはかなりストレートに言ってくる人が多い分メンタルはかなり鍛えられた。明らかに我々のミスではない時は、意地でも謝らず、拳を構えるポーズをしだすのではないかというくらい強気な同僚もいてつい笑ってしまいそうになることもある。それくらいの強い気持ちがないとこの国では生きれないかもね。そうなるにはあと数年かかりそうだけど。

 

そんな愛すべき無愛想な店員さんたちでも”Have a nice day”と言ってくれる。”Have a nice day”と言われると、未だに少し嬉しくなる。言われる側だけでなく、言う側も良い気分になれる、と働いていて気づいた。このコミュニケーションは日本にもあって欲しいな。初めて会った人とでも「いい日になるといいね」と言い合えたら、絶対少しハッピーな日になる。