第二回劇場建設(仮称グローブ座)構想会議(No.13 Spring 1998)

 平成4年(1992年)2月29日仙台市戦災復興記念館において、シェイクスピア・グロー ブ座建設に関する構想会議が30人の有志によってもたれました。この会議が後にシェ イクスピア・カンパニーの母体となりました。平成10年(1998年)3月11日にその流 れを受けて、さらに具体的な議論としての劇場(仮称グローブ座)建設に関する会議 が行われました。今回の参加者は1992年の会議メンバーの一部である、下館和巳 (シェイクスピア・カンパニー[以下SC]主宰)、大平常元(SCスーパー・バイ ザー)、伊東正道(SCジェネラル・マネージャー)、藤原陽子(SCアドバイザー)、 中村ハルコ(フォトグラファー)、目黒信宏(レンタル・アート・ヴィッタ・ヌーバ 取締役)、廣瀬純(シンガー・ソング・ライター)、鹿又正義(SCエディター)、 坂本公江(SCステージ・マネージャー)の9人で構成されました。(敬称略)会議 は、シェイクスピア・カンパニーが創設時から提唱している劇場建設について、基本 的な部分から問題を掘り起こしてみることから始められました。

〈要  約〉
 文化的発信基地としての劇場の不在と仙台における文化的伝統の不在が指摘できる。 こうした仙台の現状を踏まえると、劇場というハード面の問題だけではなくその観客 をはじめとする劇場を支える人々が必要となる。演劇という文化を中心に子供達をワー クショップで育てること、成人に関しては演劇ボランティアのようなものを募ること が提案された。ただその夢は無理に作り上げられるのではなく、「演劇や劇場が好き だ」という気持ちが自然に広がることを目指す必要がある。単なる一方的な啓蒙主義 に陥ることは避けなければいけない。
 十億円規模の建物を建てる場合、政財界というマクロ的な力が必要だが、演劇やシェ イクスピアが好きだという人々のミクロ的な力が核になるという前提が必要だ。未来 に向かって今できることは、劇場の名前や形態を共有された夢を多くの人々と語り合 うことである。それにはわれわれカンパニーが良い芝居を作って、見てもらうという ことが劇場建設への夢の実現になって行く。

 要約すると、以上のようなことが話し合われました。現実には色々な問題があり、解 決するにはかなりの困難を伴うことも多くあります。しかしこの会議を継続して行い、 確実に演劇活動を行っていくことが今の段階では劇場建設への道であると合意を得ま した。
(文責 鹿又正義)